1. キャリアデザインの考え方
概要:キャリアデザインとは、職務経歴という客観的側面と自己イメージという主観的側面がある。
1.1. わかりにくい「キャリア」という概念
会社がキャリアを保証してくれない現代社会において重要視されてきた考え方である。
主観的側面である自己イメージには、以下3つがある。
- 能力、欲求に関する自己イメージ(自分の得意なことはなにか)
- 動機、欲求に関する自己イメージ(自分は何がやりたいのか)
- 意味、価値に関する自己イメージ(自分は何に価値を感じるか)
キャリアデザインの目的はキャリアの成功にあり、その判断基準は「自己イメージに即して生きてこれたか」どうかである。
1.2. 能力とキャリアデザインの関係
キャリアは偶然性に支配されており、機会を作る力、活かす力があるかがポイント。そのなかで軸となるのは、自分自身がどのような職業能力があるかを認識することである。
(実際のキャリア=キャリアデザインの能力的側面×キャリアデザインの意識的側面)
能力的側面:
【これまで】
能力=職務遂行能力=体力×適正×知識×経験×性格×意欲
【現在】
能力=基礎力(対人能力、対自己能力、対課題能力;OS、処理力、思考力;処理力、思考力;CPU)+専門力(専門知識、専門技術;ソフトウェア)×態度(信念、環境適応性;バッテリー)
それぞれの力は、年齢段階に応じた習得の度合がある。なかでも、OSにあたる対人能力、対自己能力、対課題能力は生涯伸び続けるが、30歳頃までに必要なレベルには達しておきたい。
その他、自己イメージ形成にも年齢段階に応じた標準モデルがある。
1.3.「筏下り」から「山登り」へ
転換期は30代半ば、基礎力向上から専門力向上へとフェーズを進める段階である。
1.4. キャリアデザインを阻害するもの
- 仕事に関する諦観
- 間違ったスペシャリスト志向
- 仕事のブランク
2. キャリアデザインの方法(30代まで)
概要:小学生から30代半ばまでのキャリアデザインのポイントを見ていく。新入社員の頃は上司・先輩とのタテのコミュニケーションを重視し、30歳を超える頃からは、専門領域を決める準備をする。これらを通して、基礎力を完成させる。
2.1. 高校までのキャリア
2.2. 大学までのキャリア
割愛
2.3. 入社直後のキャリアの危機
リアリティー・ショック
タテのコミュニケーションで乗り切る。
即戦力についての誤解
誤)一人でやりきれ
正)周囲の力を借りて、一人前になるスピードをあげる
人間関係でのつまづき
自分を押し殺しすぎず、間違いを恐れない。苦手な人との付き合いは、相手のいいところを探す。無理に関わらない。
多様化する20代前半のキャリアルート
キャリア選択の指針:
- そのキャリアは職業能力を高めることができるか
- そのキャリアは自分の方向感覚に合っているか
2.4. 30歳をにらむ時期のキャリアデザイン
- このまま30歳を迎えていいのか
- 学び直し
- はじめての評価格差を経験する
回避するための上司とのコミュニケーション方法
- 相(事前相談で方向性の共有)
- 連(途中経過の連絡)
- 報(結果、成果の報告)
2.5. 30代半ばの「筏下り」卒業期
持っている力の6割くらいでもそつなくこなせるようになる時期が転換期の指標であるとともに、最後の転職のチャンスである。
3. 基礎力を身につける
概要:基礎力の構成要素の深掘り
3.1. すべての仕事に共通する力
基礎力に似たもの
① IQ
② コンピテンシー(ある職務において高い成果をあげるための行動特性)
基礎力のもとになる考え方だが、運用に手間がかかるため現在は形骸化
③ EQ(心の知能指数)
- 自分自身の情動を知る
- 感情を制御する
- 自分を動機づける
- 他人の感情を認識する
- 人間関係をうまく処理する
④ 人間力(社会を構成し運営するとともに、自立した1人の人間として力強く生きていくための総合的な力)
知的能力的要素
「基礎学力」「専門的な知識・ノウハウ」「論理的思考力」「創造力」
社会、対人関係力的要素
「コミュニケーションスキル」「リーダーシップ」「公共心」「規範意識」「他者を尊重し切磋琢磨しながらお互いを高め合う力」
自己制御力的要素
「意欲」「忍耐力」「自分らしい生き方や成功を追求する力」
これらを3つの要素を「職業生活面」「市民生活面」で発揮する。
3.2. 対人能力(他者との間に豊かな関係を築く力)
親和力
リアクション、愛嬌、人脈形成、信頼構築(対自己、対人)
協働力(目標に向けて他者と協力しながら仕事を進める力)
自分や他者の役割を認識する、情報を共有する、お互いの足りないところを補い合う、相談に乗る、やる気にさせる
統率力(場を読み、組織を動かす力)
「他者の意見に耳を傾けつつ、自分の意見を主張する」「他者の意見に自分の意見を積み上げていく力」「建設的に議論する」「異なる意見を調整する」「合意を形成する」「他者を説得する」「有意な結論を導き出せるように交渉する力」
3.3. 対自己能力
感情制御力(気持ちの揺れを整理する力)
「セルフウェアネス」「ストレスコーピング」「ストレスマネジメント」
自信創出力(前向きな考え方ややる気を維持する力)
「独自性理解」「自己効力感」「楽観性」「学習視点」
行動維持力(主体的に動き、良い行動を習慣づける力)
「主体性」「完遂」「習慣化」
3.4. 対課題能力
課題発見力(課題の所在を明らかにし、必要な情報収集を行う力)
「情報収集」「本質理解」「原因追求」
計画立案力(課題解決のための適切な計画を立てる力)
「目標設定」「シナリオ構成」「計画評価」「リスク分析」
実践力(立案された計画に基づき、それを実際の行動に移す力)
「実践行動」「修正・調整」「検証」「改善」
3.5. 処理力・思考力
処理力
「言語処理能力」「数量的処理力」
思考力
「論理的思考力」
帰納法、演繹法、仮説推論
「志向・姿勢」「思考技術」
「曖昧さに対して寛容」「冒険を好む」「変化を好む」など「ブレーンストーミング」「KJ法」
「創造的思考力」
「インプット」「心を開放する」